[:ja]BIMP-EAGAって知っていますか?[:]

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知らない、聞いたことのないBIMP-EAGA

BIMP-EAGA、おそらく、知らない、聞いたことがないという方が多いのではと思います。

BIMP-EAGAとは、Brunei-Indonesia-Malaysia-Phllippines-East ASEAN Growth Areaの頭文字を取った経済圏/協力イニシアティブのことで、日本語では「東ASEAN成長地帯」といいます。

私は東南アジアでのプロジェクトに携わることが多いにもかかわらず、恥ずかしながらBIMP-EAGAを知らず、読み方も分かりませんでした。今回ブルネイのプロジェクトが始まり、BIMP-EAGAを初めて知りました。「ビンプ-エアガ」と読みます。

BIMP-EAGAは頭文字が示す通り、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピンから成る経済圏で、地図で示すと図1の通りです。ASEANの東の端っこの経済圏であることが分かります。

図1 BIMP-EAGAの地図
出典:在ダバオ総領事館資料(https://www.davao.ph.emb-japan.go.jp/files/100151779.pdf

BIMP-EAGA概要:面積は日本の4倍、人口は8000万人弱と少な目

BIMP-EAGAは1994年に発足し、もう30年近い歴史があります。域内のインフラ(交通、電力)整備を通じて、貿易、投資、産業(農業や観光)の成長を目指しています。環境や社会・文化・教育といった分野でも協力をしています。

該当する地域の詳細は、ブルネイ・ダルサラーム国全体、インドネシアのカリマンタン、スラウェシ、マルク、西パプアの各州、マレーシアのサバ、サラワク両州とラブアン連邦直轄領、フィリピンのミンダナオ島とパラワン州です。

ブルネイは国全体が含まれているとはいえ、国土は5,765㎡(三重県とほぼ同じ大きさ)、人口43.75万人の小さな国です。インドネシア、マレーシア、フィリピンについても、それぞれ首都から遠く人口が少ない地域が該当しています。BIMP-EAGAの総陸地面積は160万㎢(日本の4.2倍、ASEAN地域の1/3)ですが、人口は約7984万人と少な目です。

経済規模はまだ小さいが堅調に拡大中

経済規模も、2020年のGDPは3228億ドルと決して大きくはありません。参考までに国別GDPランキング1位の米国は20兆8938億ドル、2位の中国は14兆8667億ドル、3位の日本は5兆451億ドルで、BIMP-EAGAと同規模は42位のバングラデシュで3230億ドルです。

しかしBIMP-EAGAの経済は1994年の発足以来、順調に成長し、2020年のGDPは2017年の2873億ドルから112.36%と2桁成長です。新型コロナウイルスのパンデミックの影響を受けてはいるものの、2020年の外国直接投資128億ドル(前年比132.0%)、国内投資は92億ドル(同133.3%)と好調で、投資家の関心が高い魅力のある経済圏であることがわかります。

域内で進むインフラプロジェクト:テンブロン橋、渡ってきました

実際、BIMP-EAGAの関わるインフラプロジェクトはたくさんあり、2021年10月現在で計242.3億ドル規模となっています。その一例として、2020年3月にはブルネイのテンブロン橋が完成しました。30㎢におよぶ大橋で、首都バンダル・スリ・ブガワンと飛び地のテンブロン(自然豊かでありつつも、スマートシティ化が進む魅力的な地域)のアクセスが格段に良くなりました。ちょうど弊社スタッフが2021年7月にブルネイに出張があり、テンブロン橋を渡ってきました。現地の風景や動画もご紹介します(図2~6)。

図2 テンブロンとテンブロン橋の地図
出典:Wikipedia地図を基に弊社作成
図3 テンブロン橋のイメージ
出典:ERIA Full Report – Formulation of Temburong Eco Town
図4 ブルネイ出張①:テンブロン橋のバンダル・スリ・ブガワン側の入り口
図5 ブルネイ出張②:テンブロ橋を渡っているところ
図6 ブルネイの自然:滝登りツアーに参加したとき
参考:テンブロン橋を渡る動画/大河内博氏のYouTube

BIMP-EAGAの魅力:自然が観光資源

BIMP-EAGAは人口も少ない、経済規模もまだ小さい…のですが、例えばご紹介したテンブロンの風景をご覧になるとわかるように、自然が多くて観光的な魅力にあふれた地域です。BIMP-EAGAの域内にはテンブロンの他にも、例えばマレーシアのサバ州の州都でキナバル山やマリンリゾートで人気のコタキナバル、フィリピンには世界で一番美しい島と評されるパラワン島など、観光資源も豊富です。

BIMP-EAGA域内にインドネシアの首都移転にも注目

また最新の話題としては、2022年1月18日にインドネシアの国会で首都を現在のジャカルタから、BIMP-EAGAに含まれるカリマンタン東部に移転することが可決されたところです。

ジャカルタの人口過密や交通渋滞が深刻なための首都移転で、インドネシア政府はカリマンタン東部に25万haの森林を開発し、2024年から順次、首都機能移転を開始するそうです。新しい首都の名前はインドネシア語で「群島」を意味する「ヌサンタラ」に決まりました(新首都の位置は図1参照)。インドネシアは人口2.7億人で、世界第4位の大国です。その首都移転先がBIMP-EAGA内で、新首都はヌサンタラ=群島。奇しくもBIMP-EAGAも群島ですね。

2022年は群島パワー、BIMP-EAGAに着目してみると面白く、「BIMP-EAGA、知らないのですか?注目の地域ですよ!」となるかもしれません。

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